牧野 信一

妄想患者

新字旧仮名 約29,294字・読了目安59分

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一 ふつと、軽い夢が消えると、窓先を白い花が散つてゐた。何かにギクリと悸された鼓動の余韻が、同じやうに静かに、心から散つて行くのを、私は感じた。 「桜の花だつたか。」、私はさう思つた。 ガジガジと、インク壺の中へペン先を突き込む音がする、慌…

作品情報

初出「新小説 第二十七巻第十一号(十月号)」春陽堂、1922(大正11)年10月1日
分類NDC 913
公開日2011-06-12
最終更新2014-09-16
底本 「牧野信一全集第一巻」筑摩書房
入力宮元淳一
校正門田裕志

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