寺田 寅彦

ある幻想曲の序

新字新仮名 約1,319字・読了目安3分

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一 何もない空虚の闇の中に、急に小さな焔が燃え上がる。墓原の草の葉末を照らす燐火のように、深い噴火口の底にひらめく硫火の舌のように、ゆらゆらと燃え上がる。 焔の光に照らされて、大きな暖炉の煤けた空洞が現われる。焔は空洞の腹を嘗めて頂上の暗い…

作品情報

初出「明星 第四巻第二号」1923(大正12)年8月1日
分類NDC 913
公開日2004-01-16
最終更新2016-02-25
底本 「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店
入力Nana ohbe
校正佳代子

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