寺田 寅彦

やもり物語

新字新仮名 約4,612字・読了目安9分

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ただ取り止めもつかぬ短夜の物語である。 毎年夏始めに、程近い植物園からこのわたりへかけ、一体の若葉の梢が茂り黒み、情ない空風が遠い街の塵を揚げて森の香の清い此処らまでも吹き込んで来る頃になると、定まったように脳の工合が悪くなる。殺風景な下宿…

作品情報

初出「ホトトギス 第十一巻第一号」1907(明治40)年10月1日
分類NDC 914
公開日2004-04-18
最終更新2016-02-25
底本 「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店
入力Nana ohbe
校正松永正敏

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