横光 利一

蠅

新字新仮名 約4,011字・読了目安8分

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一 真夏の宿場は空虚であった。ただ眼の大きな一疋の蠅だけは、薄暗い厩の隅の蜘蛛の巣にひっかかると、後肢で網を跳ねつつ暫くぶらぶらと揺れていた。と、豆のようにぼたりと落ちた。そうして、馬糞の重みに斜めに突き立っている藁の端から、裸体にされた馬…

作品情報

分類NDC 913
公開日1999-07-09
最終更新2014-09-17
底本 「日輪 春は馬車に乗って 他八篇」岩波文庫、岩波書店
入力大野晋
校正瀬戸さえ子

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