牧野 信一

肉桂樹

新字旧仮名 約5,606字・読了目安11分

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一 枳殻の生垣に、烏瓜の赤い実が鮮やかであつた。百舌鳥が栗の梢で、寒空を仰いで激しく友を招んでゐた。武兵衛さんが、曲つた腰を伸して、いつまでも、鳥の声の方を見あげてゐた。彼の口から立ちのぼる呼吸が、ふわふわとする煙であつた。――武兵衛さんの…

作品情報

初出「若草 第十巻第二号」宝文館、1934(昭和9)年2月1日
分類NDC 913
公開日2010-11-21
最終更新2014-09-21
底本 「牧野信一全集第五巻」筑摩書房
入力宮元淳一
校正門田裕志

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