蘭 郁二郎

蝱の囁き

――肺病の唄――

新字新仮名 約13,218字・読了目安26分

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一、暁方は森の匂いがする 六月の爽やかな暁風が、私の微動もしない頬を撫た。私はサッキから眼を覚ましているのである。 この湘南の「海浜サナトリウム」の全景は、しずしずと今、初夏の光芒の中に、露出されようとしている。 耳を、ジーッと澄ましても、…

作品情報

初出「探偵文学」1936(昭和11)年7月
分類NDC 913
公開日2007-01-16
最終更新2025-06-29
底本 「火星の魔術師」国書刊行会
入力門田裕志
校正川山隆

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