横光 利一

蛾はどこにでもゐる

旧字旧仮名 約6,296字・読了目安13分

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一 たうとう彼の妻は死んだ。彼は全くぼんやりとして、妻の顏にかかつてゐる白い布を眺めてゐた。昨夜妻の血を吸つた蚊がまだ生きて壁にとまつてゐた。 彼は部屋に鍵をかけたまま長らくそこから出なかつた。彼は蚊が腹に妻の血を蓄へて飛んでゐるのを見ると…

作品情報

初出「文藝春秋 第四年第十號」1926(大正15)年10月1日
分類NDC 913
公開日2017-09-12
最終更新2017-08-25
底本 「定本 横光利一全集 第二巻」河出書房新社
入力姉十文
校正mitocho

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