永井 荷風

虫干

新字新仮名 約7,946字・読了目安16分

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毎年一度の蟲干の日ほど、なつかしいものはない。 家中で一番広い客座敷の椽先には、亡った人達の小袖や、年寄った母上の若い時分の長襦袢などが、幾枚となくつり下げられ、そのかげになって薄暗く妙に涼しい座敷の畳の上には歩く隙間もないほどに、古い蔵書…

作品情報

公開日2024-07-13
最終更新2024-07-06
底本 「花火・来訪者 他十一篇」岩波文庫、岩波書店
入力入江幹夫
校正ムィシュカ

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