牧野 信一

真夏の朝のひとゝき

新字旧仮名 約8,229字・読了目安16分

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芝区で、二本榎の谷間に部屋を借りてゐた。既に七月の夢が消えてゐた。寺院の鐘の音が霧の深い崖下に渦を巻いた。妻子は私の因循にあきれて、海辺の故郷に赴いてゐた。 私は寺院の鐘の音では夢を破られなかつたが、直ぐの窓下で芝居の幕あきの調子で鳴る紙芝…

作品情報

初出「新潮 第三十巻第九号」新潮社、1933(昭和8)年8月19日
分類NDC 913
公開日2010-11-27
最終更新2014-09-21
底本 「牧野信一全集第五巻」筑摩書房
入力宮元淳一
校正門田裕志

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