小川 未明

春風遍し

新字新仮名 約1,699字・読了目安3分

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春先になれば、古い疵痕に痛みを覚える如く、軟かな風が面を吹いて廻ると、胸の底に遠い記憶が甦えるのであります。 まだ若かった私は、酒場の堅い腰掛の端にかけて、暖簾の隙間から、街頭に紅塵を上げて走る風に眼を遣りながら独り杯を含んでいました。そし…

作品情報

分類NDC 914
公開日2012-01-23
最終更新2014-09-16
底本 「芸術は生動す」国文社
入力Nana ohbe
校正仙酔ゑびす

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